配置基準は何故必要なのか

病院が患者に、適切な医療サービスを提供するためには、医師や看護師などの医療スタッフの人員数を確保しなければいけない。このため、必要と考えられる人員数のが、法律で定められている。配置基準と呼ばれることが多いのだが、正確には「人員配置標準」という。なぜ「標準」なのかというと、適切な医療を提供するためには、一定レベル以上の医療人材が不可欠だからである。

たとえば、1人の看護師で何十人もの入院患者を看護するのは物理的に不可能だろう。また手術をする場合でも、医師1人では困難だ。麻酔医や機械出しを行う看護師など、複数の人員で行わなければ命に関わる。このように、安全かつ適切な医療サービスを安定的に提供するためには、必要充分な人数のスタッフが必要になる。しかし、軽度な病気やケガなどでは、少ない人員数でも対応できるだろう。このため、法律では「最低基準」ではなく「標準」とされているのである。

このことから見えてくるのは、充分な医療サービスを提供するためには、「最低」の人員数ではなく、少しゆとりを持たせた「標準」的な人員数を満たすのが望ましいということだ。人の命を預かる病院においては、必要最低限ギリギリの人数では医療ミスが発生したり、充分な医療サービスが提供できない恐れがある。このため、ギリギリの「最低数」ではなく「標準数」を満たす人員の基準と手「人員配置標準」が法律で決められているのだ。一般病棟においては、看護師の人員配置標準は3人とされている。