人員配置基準と看護体制の違い

「人員配置基準」と「看護体制」は、看護師の人員配置に関する制度だが、意味が異なるため、それぞれの違いを知っておこう。まず、「人員配置基準」とは医療法で決められた、医療機関が雇用すべき人員の数で、正確には「人員配置標準」という。例えば、一般病棟の場合は、医師の人数は患者16人に対して1人、看護師および准看護師の人数は患者3人に対して1人などと雇用数が決められている。雇用数がこれらの数より少ない場合は、法律違反となる。

このように法律では、入院患者3人に対して1人の看護師が必要と判断している。ただし、ここで注意したいのは、法律で決められている人員数はあくまでも「標準的な人数」であり、この人数を満たしていなくても適切な医療サービスが提供できている場合は、病院の営業が認められていることである。これに対して「看護体制」とは、1人の看護師が何人の入院患者に対応するかを決めるシステムで、例えば、7対1や10対1などが知られている。7対1は、1人の看護師が7人の患者を担当し、10対1では1人の看護師が10人の患者を担当する。当然ながら、1人の看護師で10人の入院患者に対応するよりも、7人に対応する方が手厚い看護が提供できるだろう。

7対1や10対1といった看護体制は、どのような医療を提供するかなどによって異なり、診療科によっても異なる。たとえば、重篤な患者に対応するICUやHCUでは、1人の看護師が2人の患者に対応する2対1などを採用して、きめ細かな看護が行われることが多い。救急病棟のある一般病院では、7対1または10対1が適用される。